Freedom Cafe3
SAでハーレー乗りに別れを告げた後、僕もハーレーに跨り高速へ。
しばらくハーレーを走らせているとついさっきまで晴れていたのに、次第に雲行きが怪しくなる。
「雨降りそうだな。しまった。タオルも何ももってきてない・・・」
そうこう思っているとポトポトと雨が降り始める。
高速で雨に降られるとひとたまりもない。車と違って全く前が見えなくなる。
急いで最寄りのICで高速を降り、近くのコンビニで雨宿りをしようと探すも全く見つからない。よく周りを見渡しても店自体があまりない・・・。
山間のICで降りてしまったようだ。
次第にどしゃ降りになってくる雨に徐々に焦りも出てくる。とその時、「あっ!・・・。ガソリンが・・」
先ほど寄ったSAでガソリンを入れるつもりだったが、ハーレー乗りのおじさんたちと話に華が咲いてすっかり忘れていたのを今思い出す。
雨もどしゃ降り、ガソリンのランプは点灯中
しかし行けども行けどもコンビニもガソリンスタンドもない。
せめて雨だけでもしのごうと、近くにあったプレハブ小屋に避難する。
「最悪だな・・・ガソリンやばいな」
タンクの中を覗き込んでみるが、2リットルと入っていない。もってあと20キロ。
「誰だ!!」
突然の大声に愛車を倒しそうになる。
「誰だ!!」
みると初老の男性。どうやら農家さんの倉庫(?) で雨宿りをしていたようだ。
「すいません。実は・・・」
と事の成り行きを説明するも
「こっちへ来い!」
と家らしき建物に腕を引っ張られながら連れていかれる。
(通報される・・・どうしよう)
そう思い
「ごめんな・・」
「寒かろう?ガソリンスタンドは5分の所にある。雨がやむまでここにおれ」
とずぶ濡れの僕に温かいお茶まで出してくれた。
「ああったかいですね。」
とブルブルと身体を震わせながら温かいお茶を頂く。
「寒いのか?待ってろ」
そう言って、大きなバスタオルで用意してくれ、ずぶ濡れの体をふいていると
先ほどの雨がウソのような日差しが出てきた。
「ありがとうございました。助かりました。」
「いいよ。でも事故だけは気をつけろよ」
と挨拶をかわしながら、バイクを置いてきた小屋まで案内される。
「では。」
というと、おじさんはグッとタオルを僕に手渡す。
「大丈夫です。先ほどタオルで身体すきましたので。」
「ちがう!バイクが濡れとる。もっと大切にしろ」
はっ!となりバイクをタオルでふき取っている後ろで
「まっ、また困ったらウチに来い」
とても器用とは言えない男性からのその一言がどれだけうれしかったことか。
バイクに乗ってなかったら出会えていなかったであろう縁。
「写真一枚とりませんか?」
顔を真っ赤にしている姿をパシャリ。
ハーレーにまたがっていると、本当に不思議なご縁に巡り合える。
車では出会わないような人と人の縁。
やはりハーレーは僕に特別な繋がりを与えてくれる。